遠近両⽤メガネの
選びかた

メガネをはじめて作るとき、レンズをどのように選べば良いのか悩む方も多いと思います。
前回は、「老眼にメガネが良い理由」について、
両国眼科クリニック院長の岩崎美紀先生にお話をお伺いしました。
今回は、メガネを作る前の予備知識として、メガネレンズの種類や、遠近両用レンズの特徴、
実際にメガネをつくるときのポイントをお聞きします。

メガネレンズもご自身にあったものを メガネを購入する際、「フレーム選び」を重視される方はとても多いですね。もちろん、かけ心地や見た目の印象を大きく左右するので、「フレーム重視」も間違いではありません。しかし、視力を補正するためにメガネを作るのですから、メガネレンズもご自身にあったものを選んでいただきたいですね。
メガネレンズは、見た目にはどれも同じように見えるので、違いが分かりにくく、勧められるままに、または価格で選んでしまう方も多いのではないでしょうか。ご自身にあったメガネレンズを選んでいただくためには、購入前に予備知識も必要かもしれません。
メガネの購入前に知っておいていただきたい知識として、メガネレンズの種類を説明します。 メガネレンズは大きく二つに分けることができます。まず、一枚のレンズに一つの補正機能(度数)を持つ「単焦点レンズ」。それに対して、一枚に複数の補正機能(度数)を持ったレンズがあります。代表的なものは上部と下部で度数を分けた「二重焦点レンズ」と、上部から下部にかけてなだらかに度数が変わる「累進屈折力メガネレンズ(累進レンズ)」です。一般に「遠近両用」として知られるものですが、実は「遠近」だけでなく、「中近(室内用)」「近近(デスクワーク用)」など、様々なタイプがあります。 では、「老眼用はどれ?」といった場合、実は、いずれも老眼用なのです。このようにメガネレンズにはいろいろ種類があるので、自分にあった見え方を選ぶことがとても大切です。

イメージ画像:眼鏡による違い 遠近両用メガネレンズは、一枚のレンズで「遠く」と「手元」を見ることのできるレンズです。例えば普段メガネをかけているのに、スマホを見る時にはメガネをはずしたり、逆にお手元を見る時だけ老眼鏡を使うといった、メガネをかけたりはずしたりする煩わしさがない、とても便利なメガネレンズです。
「遠近両用」と聞いて、一般にイメージされるのは「二重焦点レンズ」が多いですね。これは、遠くを見る度数と、手元を見る度数がはっきり分かれているものです。遠くと手元、メリハリのある見え方ですが、レンズに度数の境目、筋があるため、一目で老眼用と分かります。特に女性は年齢を感じさせてしまうものとして、抵抗感のある方も多いのではないでしょうか。
一方で、遠くから近くの度数がなだらかに変化しているものが「累進屈折力メガネレンズ(累進レンズ)」です。こちらは「遠くを見る度数」から「手元を見る度数」まで、徐々に変化がついている境目のないレンズなので、見た目にも自然なレンズです。

購入前には装用テストをすることをお勧めします 遠くを見る度数と近くを見る度数、この度数差のことを「加入度数」といいますが、この「加入度数」が小さい、つまり遠く・近くの度数差が小さいうちに遠近両用メガネをかけ始めると慣れやすいですね。でも一枚のレンズで、遠くを見たり、近くを見たりと、視線を上下に動かす時に度数が変わる、という状態は、なかなかイメージできないかもしれません。洋服に試着があるように、メガネレンズも試すことができます。はじめて遠近両用メガネを購入される方はもちろん、すでに遠近両用メガネを使用されていて、買い替えようという方も、購入前には装用テストをすることをお勧めします。装用テストではご自身の度数の確認をするだけでなく、遠近両用メガネをかけると、どのような見え方で日常生活をおくることになるのか、イメージすることができるでしょう。

「見えているから大丈夫」という自己判断はとても危険です メガネをかけている方も、かけていない方も「見えているから大丈夫」という自己判断はとても危険なことです。一般の方の「見えている」と、私たち眼科医の「見えている(良い状態)」は違っていることが多く、また、見えるかどうかと眼病は別問題になります。特に加齢が進むと、白内障や緑内障が進行しているケースも多くなります。
まずは眼の状態をチェック。それも定期的に行うことが、長く、眼の健康を維持するための大切なポイントです。ご自身の眼のこと、ぜひ気にかけてあげてくださいね。