白内障とメガネ

近頃夜の運転や街を歩いていると、対向車のヘッドライトがまぶしく感じるようになってきました。
車のヘッドライトの性能が変わったからという話もありますが、加齢とともに水晶体が濁り始め年齢的にそろそろ白内障を疑わなければいけない年齢でもあります。

眼の中でレンズとピント合わせの役割をする水晶体は、加齢とともに弾力が低下します。水晶体の弾力が低下しますと、ピント合わせの機能が低下し、特に近くの見づらさを感じるようになります。また、人によっては、遠くも近くも見づらくなります。一方、水晶体は加齢とともに濁ってきます。この状態がさらに進みますと、すりガラスを通して見ているかのような状態となり、カメラでいうセンサーやフィルムの役割をする網膜に光が届きにくくなる白内障という病気となります。

通常の見え方イメージ
通常の見え方イメージ
白内障の見え方イメージ
白内障の見え方イメージ

現在は、濁って弾力を失った水晶体を人工レンズである眼内レンズに置き換える手術を受けることで再び快適な視界を取り戻すことが出来るようになりました。
しかし、白内障手術を受け、快適な視界を取り戻しても、眼内レンズの種類によっては遠くから近くまでピントの調整が出来るわけではありません。最近ではこのような遠くから近くまでピントを合わせられる眼内レンズも発売されておりますが、レンズの差額費用負担が発生したり、年齢や眼の状態によってはそれらレンズを選択することが出来なかったりもします。

多くの場合は白内障手術を受けても、見たい距離に合わせたメガネやコンタクトレンズが必要となります。たとえば、白内障手術で眼内レンズの度数を、遠くがしっかり見えるように合わせた場合には、オフィスやリビングで、パソコンや読書などをする際には、中間距離から近用距離を見やすくするメガネが必要と感じるはずですし、遠くもそこそこ、近くもそこそこ見えるような中間距離(パソコン作業用)に合わせた場合には、車の運転時には遠くがしっかり見える、そして、読書時には近くがハッキリ見えるようになるメガネやコンタクトが必要となります。こういった時、それぞれの用途に合わせメガネやコンタクトを準備するのは面倒ではありませんか?
そんな時に役に立つのが、遠近両用レンズや中近レンズ(室内用レンズ)となります。

遠近両用レンズは、遠くから近くまで見たい距離に合わせ度数が調整されたレンズで、1本のメガネで快適に過ごすことが出来ます。欠点としては階段を降りるときなどに、遠近両用レンズ特有の揺れを感じたり、歪みを感じたりします。しかしながら、それらは遠近両用レンズを上手に使いこなすコツさえつかめば徐々に慣れていき、揺れやユガミを意識することなく見ることが出来るようになっていきます。

遠くがハッキリと見えている場合は、中近レンズ(室内用レンズ)を使用することで、遠近両用レンズより違和感を感じにくく、中間距離や近くの見え方は遠近より快適に見えるレンズとなります。これらのレンズを使用したメガネは、白内障術後の見え方に合わせて選択できるとともに、白内障術前であっても、近くの見づらさを感じ始めたときから選択できるメガネでもあります。
さらに、近くをより快適に見たいといった時には、近く専用のレンズも準備されています。

白内障では、多くの人がまぶしさを強く感じるようになる傾向にあります。これは、水晶体の混濁が原因となったり、白内障術後には、今まで混濁していた水晶体が取り除かれ、いわば眼の中に入っていたサングラスを取り除くようなものですから、急に眼の中に入る光の量が増えまぶしさを感じることがあります。また、使用する眼内レンズ、特に近くから遠くまでピントを合わせることのできる眼内レンズによっては、眼内レンズ特有のまぶしさを感じることがあり、これを不快と感じることがあるとも言われております。

多焦点眼内レンズ特有のまぶしさイメージ
(ハログレア)
多焦点眼内レンズ特有のまぶしさイメージ(ハログレア)
多焦点眼内レンズ特有のまぶしさイメージ
(スターバーストグレア)
多焦点眼内レンズ特有のまぶしさイメージ(スターバーストグレア)

そういった時にはサングラスなどのカラーレンズが役に立つわけですが、レンズカラーによっては、明るさは減ってもなんとなくまぶしさが残ることがあったり、物の見えにくさを感じたりすることがあります。このような時には、選ぶレンズカラーを工夫したり、まぶしさと見えやすさのバランスを考えた専用のカラーレンズを選択すると、より快適な見え方を得ることがありますので、遠近などのレンズに最適なカラーレンズを組み合わせると良いと思います。

まぶしい見え方のイメージとそれぞれに適したレンズカラー

白っぽさやカスミなどを伴うまぶしさ
白っぽさやカスミなどを伴うまぶしさ

ブラウン系、イエロー系、ピンク系が効果的

白っぽさはないが
光の量が多く明るく感じるまぶしさ
白っぽさはないが光の量が多く明るく感じるまぶしさ

グレー系、グリーン系が効果的

ついつい見えていると目は健康と思いがちですが、歳を重ねるにつれ水晶体の混濁は進み、弾力は徐々に失われていきます。定期的な眼科検診は白内障に限らず、緑内障などの予防にもつながります。節目節目の検診で目の健康を守りましょう。