OTONA LOG

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May 20. 2016

味と人情がつなぐハシゴ酒。
〜新宿・思い出横丁〜

ワインの美味しいお店や、銘酒をそろえた小料理屋は知っていても、少し足を踏み入れづらいのが横丁の居酒屋。オジサマの聖地というイメージがあって、自分とは縁遠い世界に思えます。かつてのオヤジギャル、今でいうオヤジ女子なんて柄でもないし……。でも、赤提灯の連なる路地を横目に、いつか行ってみたいと思っている自分もいたりして。そこで今日は仕事を早めに切り上げて、新宿西口に古くからある「思い出横丁」に、思い切ってデビューしてみることにしました!

思い出横丁

戦後の闇市からスタートした思い出横丁は、昭和の味と人情をしっかり伝えながら、近隣のサラリーマンや繁華街に集まる人々に愛されてきました。上司のオジサマいわく、新宿ゴールデン街が文化人の街なら、思い出横丁は庶民の味方。安くて美味しいお店が小さなエリアにずらりと並んで、一見さんも常連さんも分け隔てなく楽しめるそうです。

屋号の書かれた看板や、軒先に出されたメニューを眺めながら、すれ違いざまに肩が触れ合いそうな狭い路地をぶらぶら。初めて体験する横丁の雰囲気に、まだ少し気後れしてしまいます。でもカメラを手にした外国人観光客たちも、きっと同じような気分なんでしょうね。

すると、ふいに香ばしい匂いがしてきました。店先で丸々とした鶏つくねを焼いているのは、焼き鳥とモツ煮込みで評判の「辰乃家」さんです。

辰乃家

辰乃家

たまらず「ひとりなんですが……」と声をかけると、ひと続きになったカウンター席にご案内。基本的に卓上のメニューはなく、定番から今日のオススメまで、すべて店内に張り出されるのが横丁の流儀なのだとか。あちこち見まわして気になったのが、「沖縄モヒート」というドリンク。泡盛とシークワーサーで作ったオリジナルだそう。横丁デビューの祝杯はこれに決まり!目の前で湯気を立てているモツ煮込みと、店頭で見かけたつくねを注文して、しばし待ちます。

辰乃家

すっきりした味わいの沖縄モヒートをグビグビやりながら、あらためて店内を眺めてみると、壁に映画のポスターや来日公演のフライヤーなどがぎっしり貼られていることに気づきます。そして先ほどから気になっているのが、なんとも横丁らしからぬお洒落なBGM。これはご主人に話しかけるきっかけになりそう。「音楽が素敵ですよね」。そう声をかけると、ご主人も待ってましたとばかりにニッコリ。「一番力を入れてますから」と冗談めかして答えてくれました。なんでもソウル、ジャズ、レゲエ、ロックなどをご自身のセレクトでかけているのだとか。横丁といえば演歌……そんなイメージも今は昔のようですね。

つくね

さて、目の前に並んだモツ煮込みとつくね。毎日2〜3kgを用意するつくねは、20時頃になくなってしまうこともある辰乃家さんの人気メニュー。専用の鶏肉を業者に配合してもらい、ボイルではなく生の状態からじっくり焼き上げます。焦がさずしっかり火を通す、そのさじ加減が難しいそう。箸を入れると香気がフワリと立ちのぼり、熱々のまま口に運べばスッと溶けていきます。継ぎ足されてきた秘伝のタレと、生卵のまろやかなコクが混ざり合い、なんとも至福の心持ち。一方のモツ煮込みはといえば、味噌と醤油をブレンドした複雑で優しい味わい。こちらもファンの多い長年の看板メニューなのだとか。

ご主人の佐藤さん

実はこの辰乃家、かつては寿司屋だったそうです。言われてみれば、お店の構えにその名残がうかがえます。ご主人の佐藤さんは18年前にこの店を継ぎ、以来ひたむきに暖簾を守ってきました。カウンター越しに佐藤さんの手さばきを眺めるのも、辰乃家の楽しみ方のひとつ。無駄のない一連の所作の、なんと美しいこと。この佇まいが好きで毎日通ってくる常連もいれば、年に数回だけ訪れる海外のファンもいるのだとか。いつでも変わらぬ味と雰囲気で迎えてくれる、それが横丁のお店の良さなのかもしれません。

辰乃家さんで小腹を満たしたら、横丁の醍醐味でもあるハシゴ酒に挑戦です。ほろ酔いで路地をそぞろ歩くのも、また楽しいもの。地域の皆さんの努力もあって、現在の思い出横丁はとても安全。横丁全体が大きなお店のようなものですから、女性ひとりでも気兼ねなく歩けます。

岐阜屋

しばらく行くと、妙に活気のある一角が見えてきました。思い出横丁の名物ともいえる「岐阜屋」さんです。昭和22年創業のこちらは、中華料理店。安くて美味しい料理を朝から夜中までいただけて、いつ足を運んでもお客さんでいっぱいだそうです。中央に大きな厨房があり、その周囲をカウンターが囲む劇場型のスタイル。オープンな店構えは、どこか東南アジアの屋台を思い出させます。中華鍋が勢いよく振られる様子を眺めながら、ビールや焼酎をチビチビやっている常連さんが多いよう。

岐阜屋

席に着いて壁のメニューを眺めていると、隣のお客さんの頼んだ料理が運ばれてきました。なんだか美味しそう!「木耳と玉子炒め」というこの料理は、岐阜屋さんの名物なのだとか。黄色い卵と大きなキクラゲのコントラストが目にも鮮やかです。迷わず、「木耳と玉子炒め」とビールを注文。お酒にもよく合う、少し甘めのピリ辛風味で、卵はふわふわ。ボリュームたっぷりですが、ぺろりと胃に収まってしまうから不思議です。

聞けばお隣さん、もう40年来の常連なのだとか。「昔はよく映画の帰りに寄ったなあ」と話してくれました。店長の坂田さんも手を動かしながら会話に加わって、杯が進みます。一見コワモテの坂田さんですが、実際はとても気さくでチャーミングな方。ここにも岐阜屋が愛され続ける理由があるのですね。

気がつけば夜も更けて、そろそろ帰る時間。岐阜屋の常連さんは、こうも言っていました。「思い出横丁に通う人が100人いたら、そこには100の理由がある。僕はただ気持ちいいから来ているだけですよ」と。そう、あまり難しく考えずに、気軽に足を運ぶのが正解のようです。そして水の合うお店に出会えたら、また行ってみる。そんな風にして横丁の歴史は紡がれてきたのでしょう。思い出横丁はノスタルジックな雰囲気を楽しむ場所であると同時に、新しい思い出が生まれる場所でもありました。

スポット概要

辰乃家

辰乃家

東京都新宿区西新宿1-2-7
17:00〜24:00(ラストオーダー23:30)
※日曜定休
特製つくねをはじめ、18種類の串焼きが自慢の居酒屋。オリジナルの料理やドリンクも多彩に楽しめます。20代から70代まで幅広い客層に愛され、女性のひとり客も多いので安心。1階14席、2階12席。

http://www.shinjuku-omoide.com/shop/tatsunoya/index.html

岐阜屋

岐阜屋

東京都新宿区西新宿1-2-1
9:00~1:00(木曜〜土曜 9:00~2:00)
無休
朝から夜中までやっている横丁の名物中華店。餃子、チャーハン、木耳と玉子炒めなどが人気です。最近は女性客も増えてきて、また、日本のガイドブックに紹介されるなど、外国人観光客にも有名。55席。

http://www.shinjuku-omoide.com/shop/gifuya/index.html

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